ファシリテーションフォーラム2009に行ってきた

ファシリテーションフォーラム2009に土曜日顔を出してきた。
取ったセッションは二つ。

ペア・ファシリテーション

実は別のが取れなくて選んだ。参加者は30人ほど。
まずはアイスブレイクで「握手渡り

1. 参加者はランダムに歩き回る
2. ランダムに歩き回りつつ目で挨拶する
3. 同じく歩きつつ、言葉で挨拶する
4. 同じく、言葉と握手で挨拶する
5. 次がちょっと難しいが、握手をして、反対の手で別の人と握手をする。そうして次々と渡っていく。
6. 以下、4、3、2 と同じことをやる。

非常に面白かったことに、3や4までは参加者に硬さが見られたのに、6以降になるとみんなニコニコしている。もっとも、参加者がファシリテーションに強い興味を持っていることは促進要因なので、普通はこう簡単には行かないだろう。

次にやったことは「Make it

1. 2人ペアになり、出されたお題を5カウント以内に演じる。例えば、「次は…薔薇!」などとコールがかかる。言葉や、身振り手振りで指図をしてはならない。
2. 4人組になり、同様に演じる。
3. 8人、16人と増やして同様に演じる。

私は、イメージは湧くものの、とても体で表現できないようなものが湧いてくる。「消防車!」と言われてぐるぐる巻きのホースを思い浮かべたが、どうやって演じろというんだ。そういう訳で周りの人がとったポーズに合わせることになる。
面白いもので、パッとポーズをとる人とそれにあわせてポーズをとる人で、なんとなく形になっている。16人もの素人の一団が、「京都!」とか「レインボーブリッジ!」といったお題で、打ち合わせもなしにわずか5カウントでそれっぽいものを演じられるのは、にわかには信じがたい。
講師が話を聞いてまわると、なぜ今こんなポーズか分からない、といいながら、その人は実に調和していて大笑いになった。

その後に「Freeze work」をやった

1. 5人でグループをつくる
2. 2人がなにかを演じる
3. 見ている誰かが「フリーズ!」と言い、演者の一人と交替する
4. 同じポーズから、全く違うものを演じる
5. 3、4の繰り返し

これは難しすぎた。なにも思いつかないから演じることが苦痛になり、観ていてもそれが分かるから、交替して結局苦痛が続く。実に難しい。全く違うものを演じること、という指示にも関わらず、どうしても前の情景に引きずられてしまう。

この後で、休憩がてら質疑応答の時間。今回の内容は、Improvisation(即興劇)をファシリテーションに持ち込んで、Applied Improvisationと呼ばれているもの。即興劇は観客に見せることを目的としているが、Applied(応用)なので、その劇めいたものから何を得られるかを主眼においている。
企業では営業、チームビルディング、マネジメント、創造性開発などなど。医療や、教育の現場でも使われているという。
ワークの重要な点として、チームに対する信頼、失敗してもよいという環境、押し付けないことなどが挙げられた。Make itは、話さないから5カウントで形になる。話し始めたらいつまでたっても形にならなかったかも、という参加者の感想は、非常に印象深かった。
また重要なキーワードとして、「Yes and...」という言葉があった。"Yes" は ”Receive" すなわち「受け取った」であって"Accept"「受け入れた」ではなく、"and"の後に"NO"という選択肢もあってよいとのこと。Freeze workで、演者と交替しなくてもよい、とのことだった。
最後にみんなで輪になってジャンプするワークをやったが、名前を忘れた。

感想
今「自己組織化」ということに興味があるが、非常に刺激になった。状況によっては、僅か5カウントで何かができあがる。そこに言葉も合図もいらない。*1日々ずっと顔を合わせるチームならば、より深い信頼ができてもよいところ。そうするにはどうすればよいか、考えてみたい。
しかし、2時間は時間が足りず、かなり駆け足だった様子。

ドラムサークル

80人ほどいただろうか。椅子を円形に並べて、それぞれが太鼓、マリンバ、ギロなどパーカッションを手に持つ。始まって40分ほどは、説明もなくひたすらリズムにあわせて演奏していた。もともとダンスを、それもリズムとアドリブ重視のダンスを踊るから、感覚としては難しくない。叩くのは慣れないからときどき外したけれど。気持ちのよい演奏だった。
そのあとでワークをやったが、いまいち成熟していない、生煮えのワークだったのじゃなかろうか。
10人程度でグループに分かれて、一人ずつ、指示をだす。メンバーの演奏を止めて、再度開始させる。特に手段は問わない。
これが非常に難しかった。数えるのは嫌だったのでダンスのジェスチャーで表現したが、理解されなかった。また8小節で一塊という感覚が強すぎて、冗長になってしまいいろいろと心残りだった。
ワークとしては原則を教えるとかいろいろあったのじゃなかろうか。印象に残ったのは指揮の経験を持った方。クラシックを習っていれば指揮者の仕草は分かると思うが、そうでない人でも仕草が分かるような、すなわち、指揮者の仕草というのは、もしかして人の根源的な感覚にマッチするのかな?と感じた。
心残りではあったものの、他人が受け止められる仕草、自然に受け入れられる行動という観点を見直そうと思ったのは収穫だったろう。

入り口では書籍の即売会。タイトルが気になった本があって、ちょうど著者のお二方がいたので購入してサインしてもらった。

対話する力―ファシリテーター23の問い

対話する力―ファシリテーター23の問い


*1:そういえば秋に大学の部活OBでやったイベント運営は、確かにそんな組織でとても感心したものだった