失敗は予測できる

失敗は予測できる (光文社新書)

失敗は予測できる (光文社新書)

 404 blog not foundで見かけて、bookoff onlineにあったので買ってみた。
 さまざまなタイプの失敗についてケーススタディを交えながら、対策を示してある。すべての失敗は41の要因にまとめられ、著者は失敗のほとんどは、このどれかに当てはまり、未知の要因による失敗は数パーセントだという。失敗といっても作業ミスによる事故、といった属人的なものだけでなく、販売戦略の失敗など、組織規模のことも言及されている。
 やや技術よりだが、細かい点がわからなくてもさほど問題ないし、商品開発の話も織り込んであるから、万人が読める本だ。
 いろんな失敗を網羅的におさえている分やむをえないことだが、けして深い内容ではない。本当に失敗を予測するには、この本を取っ掛かりに自分達で勉強会などをひらいて分析をしなければならないし、そのときにはもっと詳細な知識が必要になるだろう。
 本質的な部分である、世界中の失敗事例から学び、自分の失敗を防止するという観点そのものは、いまさらのことでためになったとは思えない。ただしこれを体系的に見据えている筆者の観点は大いに参考になった。またいくつか、心に残る言葉もあった。

  • 日本の工学部にはデザイン定義がなく、法学部には立法学科がない
  • 花は散るから美しいのであって、マンネリは面白くない(演劇の運営に関して)
  • 必要なのは、「思いを言葉に」できるリサーチ・コンサルタントである

など。
 新書であれば、十分以上の内容だ。タイトルはやや内容よりも狭い。
 関連書籍としては失敗百選など。これら筆者の本から抜粋も多くこれらのダイジェスト版、あるいは入門書かなとも思わないでもない。